[島と世界]五島市の再生可能エネルギー政策に対する懸念

国のエネルギー計画と五島市の計画

五島市では、洋上風力・太陽光・潮流発電、といった様々な「再生可能エネルギー」を駆使して、「エコな島」を目指しています。

まずは始めに、国の方針と五島市の方針のおさらいです。

出来事 国の基本計画 五島市
2007年     京大・戸田建設による洋上風力の研究開始
2010年   第3次基本計画 環境省実証事業受託
2011年 東日本大震災    
2013年     洋上風力実証機設置
2014年   第4次基本計画 再生可能エネルギー基本構想
2016年     洋上風力商用運転

こうしてみると、東日本大震災の前に「再生可能エネルギー」分野の事業(洋上風力発電)を環境省から受託していたことが、現在の追い風となっている感じですね。

実際、国が示した第4次基本計画の中にも、

浮体式洋上風力についても、世界初の本格的な事業化を目指し、福島沖や長崎沖で実施している実証研究を進め、2018年頃までにできるだけ早く商業化を目指しつつ、技術開発や安全性・信頼性・経済性の評価、環境アセスメント手法の確立を行う。

と記載されています。

需要を上回る導入目標

五島市の「再生可能エネルギー基本構想」の中では、実に野心的な目標が掲げられています。

2030年度の目標値は、需要量を遥かに上回る電力供給を、再生可能エネルギーによって実現すると謳われています。

再生可能エネルギー基本計画より抜粋

人口減少が著しい離島で、2030年の電力需要が2010年の9割と言うのはオカシイ気がしますが、更に不思議なのは132.4%(平成 24 年度比の約 30 倍)という数字。

需要を超えて作っても、結局は棄電(電気を捨てる)しかありませんが、余った電機の「供給方法」に関しては、特に言及がありません。

供給体制を作らんば

どれだけ「再生可能エネルギー」を作ったとしても、それを供給しなければ意味がありません。

2018年の春に、ようやくその受け皿が出てきそうな感じですね。

島内に需要はあるか?

しかし残念なことに、「再生可能エネルギー」は安定した供給ができません。蓄電池で発電した電気を蓄えるにしても、大規模な予算と設置場所が必要です(現実的でない)。

さらに、記事にもあるとおり、

価格競争では大手にかなわない

そうで、他の事業者さん(現在は九州電力)よりも販売価格は高くなりそうです。

そんな「不安定」且つ「高い」価格の再生可能エネルギーを、島内の事業者さんは買うでしょうか。

新聞の図表には、

「島の自然と電気でできた商品」などとPR

とありますが、再生可能エネルギーで高くなる製品の製造コストを上回るだけのブランド力が必要となります。

しかし現在でも、景観を乱す風車や太陽光発電に対しては、嫌悪感を示している方が少なからずいらっしゃるので、

「五島の再生可能エネルギーを買ってください!」

っていうセールスは、経済的な面からも、感情的な面からも、事業者の理解を得るのが難しいと考えられます。

市のバックアップが必要

で、結局そうなったときに、事業者の営業努力だけでは限界があると思います。そして契約が取れない新電力会社からは、

市も協力してくださいよ!

って話になると思います。五島市としては、当初の計画通りに事業が進んでいるわけですから、全面的に

「五島のエコ電気ブランド」

をPRしていくのだと考えられます。手軽な対策としては、新しく「エコステッカー(五島市公認)」を作ったり、大胆な政策としては、

「再生可能エネルギー導入補助金」

なんて導入されるかもしれませんね。ただそれでも、

「電源として安定しない」

っていう部分がネックになります。

そのため新会社は、再生可能エネルギーの電気だけではなく、他の事業者が発電した「エコではない電源」も買い取る必要があります。

まとめ

市役所は「エコな島づくり」を目指してガンガン「再生可能エネルギー」を導入しようとしています。2018年春からは、その受け皿として「地域電力会社」が設立されるようです。

しかしながら、一番のネックは「電気料金の高さ」です。エコなだけでは切り替えも進まないため、事業者が単独で採算を取るのは厳しそうです。

そこで新会社は、市役所を巻き込んだ販売プロモーションに動くでしょう。市が協力的な姿勢を示した場合、「エコ電源買ってくださいよ」セールスを五島の各地で展開することが予想されます。

しかしながら、2020年以降は総括原価方式が撤廃されるため、価格を巡る競争に既存電力会社も参入し、競争が激化します。

そうした流れの中では、「地産地消を続けるコスト」がどうしても割に合わないので、やはり厳しいでしょう。

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