小説書いてみた-9-黒い斑点

「もう打つ手はありません。」

その言葉を聞いて、私はハンマーで頭を殴られたように、頭の中が真っ白になってしまった。

半年前、突然見つかった病気(黒い斑点を発症する)に対して、私は様々な情報源に頼って治療方法を探した。

ネット上の怪しいものから、最新の書籍まで手広く漁り、知り合いの医者にも信頼できる情報がないか、訪ね歩いた。私一人ではできない部分は、一人娘にも頼んで協力を依頼した。

その中で一番信頼できそうな病院を頼り、そこの医者の下で投薬治療を続けていた。

ところが、治療の進展は一進一退で、目に見える症状の悪化と、薬の効果と思われる改善が繰り返し訪れた。

そしてここ数日は、明らかに病状の悪化が目立っていた。

医者としても、現在の治療では手に負えないくらい、病状が進行してしまったことを認めていた。

「他に何か、治療方法はないのですか?」

私は藁にもすがる思いで医者に尋ねてみた。ところがもう、その病院では提供できる方法はないと言う。

このままだと、余命はたったのあと半年。

折角見つけた病院に、私は見放されてしまった。

心は暗く沈みこみ、私を支えてくれた娘にも会うことが嫌になってしまった。

それでも私は生きることを諦めきれず、他の選択肢を探した。

捨てる神あれば拾う神ありだ。

ネットで見つけた情報の中に、「転移治療」という治療方法を見つけた。

公的な機関からのお墨付きは得られていないが、数多くの改善事例が紹介されている。

「この治療は、痛みを伴います。」

そんなアバウトな説明に関しても、私は治療を受けることに同意した。半信半疑ではあるが、私にはもう、取捨選択をしている余裕はない。

「具体的には、どの箇所が痛むのですか?」

大抵の痛みなら耐えられる自信はあったが、念のため尋ねてみた。

「残念ながら、それは開示できません。」

それでもいい。死ぬよりはマシだ。そう思って治療を始めると、症状は見る見るうちに回復を見せ始めた。

私の身体を覆っていた黒い斑点も、目に見える形で小さくなっていった。

なんだ、こんなに簡単な方法があったのに、どうして今まで知らなかったんだろう?

私は無事に退院を向かえ、再び日常生活を取り戻すことができた。今まで支えてくれた娘にも、お礼を言わなければ。

そう思って娘の家を訪ねると、娘はベッドで寝ていた。日中なのに。

「具合でも悪いの?」

と聞いてみると、

「最近、少しずつ黒い斑点が出来てきちゃったのよ。」

と娘は答えた。

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