【地域電力】財政が逼迫している自治体は入札制度を導入すべき

新電力の活用について

長崎県五島市のH30年6月定例会で、こんなテーマが扱われました。

1 新電力の活用について
市の財政負担軽減のため、市が管理する施設等において新電力を活用する考えは

新電力について、少し解説をしておきます。

東日本大震災を契機として、電力改革が行われ、電力の小売自由化が実施されています。

分かりやすく言うと、今までは「地元の独占スーパー」でしか買えなかったモノが、「他のコンビニ」でも買える様になったということです。

そこで市議会では、

「地元の独占スーパー(=九州電力)」だけではなく、「他のコンビニ(=新電力)」からも調達した方が、安くなるのでは?

と提案がされています。五島市の財政事情は逼迫していますから、「最小の経費で最大の効果」を生むことは、大事なテーマです。

具体的な市役所の電気代をご紹介すると、

H28:

  • 庁舎と支社:2360万 円
  • 清掃、衛生施設や火葬場:9800万円
  • 学校、教育施設:7570万円
  • 合計:1億9730百万円

H29:

  • 庁舎と支社:2490万円
  • 清掃、衛生施設や火葬場:1億470万円
  • 学校、教育施設 7820万円
  • 合計:2億780万円

という内訳で、2億円前後の経費がかかっています。

そこで、「新電力」を導入した場合、どれくらいの経費が削減できるか、見積もりをしたそうです。

結果、削減額は34施設で950万円となり、合計8.5%の削減が見込まれ、施設の中には、削減幅が10%を超える施設もあるそうです。ただし、二次離島の施設は新電力が供給できるか不明だそうです。

電気自動車の急速充電所や五島食肉センターといった場所では、既に導入によって削減効果が見られているとも紹介されています。

長崎県の入札制度

電力は、広域的なテーマですので、他の事例を見ておくことも大事です。

長崎県の場合ですと、一般競争入札を導入し、各部門ごとに最適な電力の使用を決定する仕組みを導入しているそうです。

具体的な例として、五島市にある長崎県振興局では、年間契約で入札を行っていて、4事業者が参加しています。(結果はこちら

今後は財政運営が厳しくなるため、自治体としても「入札制度」を導入し、最小の経費での財政運営をしていくことが求められます。

五島市は対応が遅い

しかしながら、市長の答弁を聞いていると、どうも「入札制度」の導入に懐疑的な印象を受けます。

市長は答弁の中で、

自由化で安くなることに飛び乗ると、結果的に不利益になることがある。

ことを懸念しています。具体的には、

大災害時に、電力復旧が遅れるのではないか?

ということですが、発想電分離後は発電者と送電が別になるため、今回の議論とは別です(単純に勉強不足であるということも告白していますが)。

「財政の健全化」という枠組みで考えれば、どうして今まで、2億円の経費も要する「電力の入札制度」が俎上に上がらなかったのかが不思議です。

地元還元と経済合理性

さらに市長の答弁では、

出来るだけ地元の経済に貢献するためには、入札方式も検討する

と述べています。これは現在、五島市内において「新電力」の設立が進んでおり、その事業者に対する忖度を含んだ内容でしょう。

要するに、一般入札(誰でも参加可能)にしてしまうと、全く知らないヨソの事業者から電力を買い取ることになり、「地元への還元」が出来なくなることを意味します。

これは電力だけではなく、他の役所の入札制度にもいえます。

究極的に言えば、役所の経費を最小化するために、

全ての買物を(安く済む)アマゾンですべきか?

という議論です。仮に全てをアマゾン化した場合、役所の経費負担を最小化できますが、同時に「地元への還元」も最小化されます。

ここは極めて政治的な要素を含む決断(地元企業や議員への忖度が含まれる)ですので、1か0かという風に結論できるものではないかと思います。

ただ、財政的に余裕のない役所の事情を考えると、役所が地元企業の「大口顧客(お得意さん)」になってはイケナイ気がします。

なぜならば「地元還元」は結局のところ、市民・国民全員が負担する「税金」が原資となっており、一部の企業を利する仕組みは不平等だからです。

それに企業自体も、「補助金・制度ありきの体質」になってしまい、肝心の「価格競争力」が身につきません。

日本のオコメがその典型例ですね。

結論

役所が年間で2億円も費やしている「電力」については、速やかに「入札制度」を導入すべきです。

その理由は、単純に「財政負担の軽減に繋がる」からです。

逆に、「地元還元」を謳って料金の高い「地元の電力」を使うことは、市の財政負担の増加につながり、税金を支払う市民感情からしても納得感が得られなません。

地元の政治的な「忖度」を抜きにして、サッサとそういう制度を導入すればいいだけの話ですが、地元のシガラミが多いと、中々スピーディーな意思決定ができない問題があるかと思います。

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「【地域電力】財政が逼迫している自治体は入札制度を導入すべき」への2件のフィードバック

  1. 停電時は旧一般電気事業者が自社他社の需要家を差別なく対応を行うよう「電力適正取引指針」に記載が有ります。市長殿に勉強させてください。また、新電力に切り替えても送電線使用料は地元電力にガッポリと入ります。アマゾンよりも、ずっとマシです。http://www.meti.go.jp/press/2016/02/20170206006/20170206006-1.pdf

    1. 海老様
      コメントと情報提供、ありがとうございます。
      私もまだまだ勉強不足ですので、参考にさせていただきます。

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