石木ダム問題を考える

半世紀に及ぶテーマ

本日は長崎県でも大きなテーマとなっている「石木ダム」について考えます。7/10の長崎新聞では、

長崎県と佐世保市、反対地権者らの間で平行線をたどる論争に、司法は9日、「必要」との判断を示した。

と紹介されています。

  • 長崎県と佐世保市:ダム作りたい
  • 反対地権者:ダム作りたくない

との争いに、司法が判断を下した結果です。

そもそもの問題は、いつ始まったのでしょうか?

日経新聞によると、

石木ダムは1962年、長崎県佐世保市の水不足解消や川棚町の治水を理由に県や同市が計画。

と紹介されています。何と今から50年も前です!

当時と今を比べれば、圧倒的に多くの社会条件が変わっています。で、この計画がずっと

ダムは必要!

という形で進んでおり、計画の見直しが行われなかったことが非常に不思議ですね。

本当にダムは必要なの?

本当にダムが必要なのかどうか、利水面(佐世保市が立てた水需要予測と保有水源)と治水面(長崎県が策定した治水計画の妥当性など)で考えてみます。(参考情報

利水面の妥当性

佐世保市が2012年に立てた水需要予測(12年予測)について、法廷では「合理性がある」と判断されたようですが、それも今となっては6年前のことです。

2012年時点での「将来予測」と、裁判が行われた2018年時点の「将来予測」は明らかに違っています。

ダムの建設は、重要なインフラ整備です。

そこに「経済予測」が付きまとうのは必然で、議論をする上では「情報の鮮度」が非常に大切です。

しかしながら今回の判決では、

「(6年前に立てた計画に対しては)妥当性があった。」

と言うことだけを述べているのであり、

「2018年時点での計画には妥当性がある。」

とは言ってません。司法の場ではリアルタイムなデータに対する妥当性を求めることは難しいということでしょう。

  • 人口減少
  • 急速に進む高齢化
  • 「定住」概念の希薄化
  • 節水技術の向上

という社会変化を考えれば、「利水面」での妥当性は薄いと言えるでしょう。

治水面の妥当性

こちらは長崎県の治水計画に基づいて、必要性が述べられているそうです。

これは「100年に1度の洪水」という言葉からも分かるとおり、大きな害を想定すれば、幾らでも妥当性を担保できます

しかしながら、昨今は「○○年に一度」という言葉が定着するくらい、異常気象が常態化しています。

2018年も丁度、大雨による未曾有の被害が発生しました。

移住で心配な「災害時の行政対応」が問われる時代

こうした面からも、治水面での重要性はあると判断できるでしょう。ただし、長崎県のHPによると、

治水対策の安全度を向上させるために、河道改修、ダム、遊水地、放水路などによって洪水を処理することが考えられます。

これらの案を比較検討した結果、石木ダムが最適な方法となっています。

と紹介されています。ここから分かることは、

ダムの建設は、「治水対策」の選択肢の一つ

だと言うことです。

「比較検討」の結果は、上述の「利水面」も踏まえたうえでの結論でしょうから、必ずしもダムを建てる必要性はないと考えられます。

まとめ

長崎県と佐世保市が推進するダムの建設は、妥当性が低く、「結論ありき」で進んでいる形です。

利水面については、人口減少や高齢化といった、リアルタイムな社会変化を踏まえた上での判断が出来ていないため、妥当性が乏しいです。

治水面の対策は必要であるものの、必ずしもダムを立てる必要性はなく、根拠の乏しい「利水面」に依存しているため、妥当性は低いです。

おそらく長崎県の思惑としては、

  1. 県として「自前」で稼げる都市が必要であり、
  2. IRの誘致や新幹線の開通による経済効果を佐世保市に期待

しているのでしょう。↓の記事ではそのあたりを詳しく紹介しています。

長崎県の財政健全化に向けた取組みを分かりやすく紹介

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