小泉純一郎氏講演会「日本が歩むべき道」を聞いた感想

700人の高齢者

小泉純一郎氏が五島列島の福江島に来島し、1時間半に及ぶ講演を行いました。

驚いたのは、参加している人数の多さ。1000人を収容できる会場が7割以上埋まってましたので、少なくとも700~800人が参加した感じです。

都会だったら普通の数字かもしれませんが、五島列島の福江島は人口が3万7千人です。人口の2、3%の方が同じ会場に集まるのは凄いな、と思いましたが、「元総理」という肩書はすごいですね。

会場に集まった人たちの平均年齢は、恐らく65歳くらいでしょうか。平日の昼間(水曜日の15時~)は学生も、働く人も参加できません。

本日の題目が「これからの高齢者が歩む道」だったら納得できますが、テーマは「これからの日本が歩むべき道」という、非常に未来志向なネームです。

政治の世界もそうですが、一般質問は10時~16時という、非常に「若者無視」の時間に行われます。

今回も講演も、テーマの割に、若い人を取り込もうとしない発想が感じられます。

本日は、そんな「仕事や学業で参加できなかった人たち」に向けて、小泉元総理が述べていた内容の要約をご紹介します。

原発推進派に騙された!?

90分の話の中の半分以上は、「脱原発」がテーマでした。彼が言っていたのは、

今まで私は、原発が安く、安全で、エコな電源であるという経済産業省が提示する情報を信じてきた。

しかし、原発の事故で明らかになったのは、原発が決して安全ではなく、廃炉も含めた費用が莫大にかかる、非常に危ない電源であることが分かった。

今まで「優秀で成績の良い」経済産業省の人たちの意見を鵜呑みにしてましたが、原発事故後に見方が変わったと言ってました。

トイレなきマンション

更に問題提起されたのが、「使用済み核燃料」です。

原発は「使用済み核燃料」を処理するコストも含んで提示されておらず、救世主とされた「もんじゅ」は税金食いの役に立たない代物であることが分かった。

もんじゅの維持には、私たちの多くの税金が使われている。

更に、廃炉の問題にしても、40年以上かかると言われているが、専門機関によると100年はかかるとの試算もある。

この辺りの「コスト」は、原発が推進される段階では考慮されていなかったと紹介されました。

原発を維持する経済産業省

そうした原発にまつわる「公開されなかった情報」を基に、世界との比較もされました。

欧州では原発事故後に「脱原発」の加速化が進み、ドイツでは原発ゼロのエネルギー政策が実行されている。

日本でも、事故後に原発の発電が0になった時期があったが、何ら支障はなく生活が出来ていた。

にもかかわらず、経済産業省は「2030年の電源構成で、原発比率20~23%」を掲げ、新しい原発を創ろうとしている。

これは非常に愚かなことであり、日本は原発ゼロの方針を推進すべきだ。

おおむねこういう意見が述べられました。

エネルギー政策の方向性

小泉元総理の話を要約すると、

日本は「ふるさと」を奪う危険で経済性も乏しい原発路線から脱却し、無限に使用可能でクリーンな「自然エネルギー」を採用する方針を歩むべき

ということでした。話の内容は、大体予想した通りですが、情報としては不十分な感じがしました。

意外と知らない日本のエネルギー問題を知る1冊

小泉総理のお得意手法は、郵政民営化の時のように、

「Aを取るか、Bを取るか?」

という問題設定です。今回も同じで、

「原発推進か? 脱原発か?」

という論法です。しかし問題の本質は、

日本のエネルギー政策をどうするか?

ということです。

そうした意味では、今後のエネルギー需給予測や、他の電源に対する中立的な情報の提示も必要です。

今回は、原発のマイナス面だけ強調されましたが、自然エネルギーにしても、致命的な問題を抱えています。

再生可能エネルギーの「主力」化は無理

政治家として

しかし勉強になったのは、彼の政治家としての問題提起です。

小泉劇場という言葉で揶揄されましたが、

細かい情報はともかく、大きな方向性を分かりやすく示すこと

が手法です。その意味では、二元論を示して世論を誘導することに、大きな影響力のある手法だな、と思いました。

おそらく、本日の話を聞いた半分以上の人は、

やっぱり原発って危ないな。自然エネルギーの方が良いな。

という印象を持ったかと思います。

こういった地ならしは、再生可能エネルギーとしての風力発電を今後1基から10基に増やそうとしている五島市にとって、追い風な雰囲気の醸成となります。

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