五島の医療体制2.規模縮小と地元の対話

病院の診療所化

全国の人口減少・高齢化を考えると、病院は経営規模を縮小する方向性にしか動きません。

五島では、冨江や奈留に行くと、

「病院の診療所化に反対!」

という看板を見かける事があります。五島でもH26.1月から、奈留病院は診療所化されています。

本日はその変遷について、市議会の答弁を基に経過を見ていきます。

(H25.3月相良議員の「五島市地域医療提供あり方検討委員会での3病院(五島中央病院・富江病院・奈留病院)の現状と今後の展望について」より抜粋)

診療所

診療所化にあたっては、国の方からH19年に診療所化のガイドラインが作成され、奈留病院がこれに該当しました。

(H25,3月野口市長より抜粋)

19年12月に総務省からガイドラインが出て、それに奈留病院が該当したもんですから、やむなく診療所化という方針を立てたわけでございまして、(後略)

これを受けて、当時は奈留病院の診療所化が進んでいきました。

奈留病院の診療所化

(H25,3月赤石議員の発言より抜粋)

奈留病院は、島唯一の公的病院、救急医療病院として地域に欠かせない病院であります。

住民が休日そして夜間に緊急搬送される病院であります。住民が急に悪くなったときに、一番最初にお世話になる病院でもあります。

その奈留病院再編計画において、平成25年2月9日、2月10日及び3月4日、3月5日、住民説明会がありました。

内容は、奈留病院の今後のあり方としまして、入院患者の減少により、医療従事者の確保難や医療の確保が困難になることが予想されるということで、五島中央病院の附属診療所とすることであった。

ところが、診療所化の説明を巡っては、市の対応が十分ではなかったという経緯があります。

経過説明

同市議会によると、

  • 平成23年12月:病院企業団から診療所化への最終答申
  • 平成25年2月:地元への説明会

という形で、約1年2カ月、住民に対する説明会や経過説明はありませんでした。これを受けて、

(H25,3月野口市長より抜粋)

地域の住民の皆様に対するそういった経過説明、こういったことが思いが至らなかったということについては、大変申しわけなく思っております。

と答弁をしています。

地域の心配

病院が診療所になる、という事の、市民の方の心配を見ていきます。

(H25,3月野口市長より抜粋)

①医師の確保

何といっても、医師の確保、これについては地域住民の皆様が非常に不安を感じている。

幾ら我々が、いや3名にしますというお話をしても、今までお世話になった医師が途中で抜けたりとかいうことをずっと繰り返してきたということもあるんでしょう。

この医師の確保ということについて、かなり強い要望があったということは、これはもう身にしみるぐらいの感じで伝わってまいります。

②緊急時の対応

それから、やはり救急時ですね。特に、夜間あるいは休日、このときに病気になったときに、どうやって我々の命を救ってくれるのかということについて、具体的にお話をいただきながら御質問がありました。

これについては、院長が丁寧に答えておりましたけれども、やはり診療所化になった場合に、今の病院と違って、そういったことに対して対応が手薄になるんではないのかということで、非常に心配をされてる、こういったことをひしひしと感じました。

総論

それから、あと総論になりますが、できるだけ今の医療水準というのを落としてくれるなと。

仮に診療所化ということになっても、今行われているような医療サービスについては、ぜひ確保していただきたい、この3点に尽きるのかなというふうに思っております。

こうした地元の心配を含みながら、奈留は診療所として運営が始まりました。

奈留医療センター

(H30,3月赤石議員の発言より抜粋)

現在、奈留医療センターは、平成26年1月から五島中央病院附属診療所奈留医療センターとして奈留病院、病床52床から病床19床へ変わり、診療所として運営されております。

当時、平成25年9月でありますが、病院企業団規約改正の議案を議決しました。

私としても病院から診療所に議決することはかなりの抵抗はありましたが、将来に向けて奈留病院の存続を考えた場合、病床数は減るが医療体制は変えないという条件で、議案に賛成しました。

(中略)ですけど、その後は、やはりさっきの連絡協議会じゃないですけど、やはり企業団からのその後の地域との交流というのはあってないと思っております。

自分たちも要請をかけなかったというのもあるのかもしれないですけど、市長はその辺の地域医療についてどう思われますか。

連絡協議会

(H30,3月野口市長より抜粋)

定期的にこの連絡会を開いて、そして奈留病院、今診療所ですけども、そこの運営状況をきちっと説明しましょうという意味合いでつくられたというふうに、私は理解をいたしておりまして、

それから長い間、開催されてないということでございます。これについてはまことに申しわけなく思っております。

まとめ

今まで経緯をまとめると、

  • H19.1月:内閣府から診療所化のガイドラインが示される
  • H23.12月:奈留の診療所化の方針が決まる
  • H25.2月:住民説明会が開催される
  • H26.1月:奈留医療センターとしてスタート
  • H30.3月:連絡協議会の不開催が指摘される

という流れです。

「病院の規模縮小」を市役所の側から見た時、

  1. 地域住民への説明
  2. 運営事業者への状況確認と説明

が不十分であることが分かります。

これからの時代、ますます不確実性が高くなり、地域住民との対話が欠かせません。そうした状況で、

どれだけ丁寧な対話のプロセスを重ねてきたか?

という点が大事になると感じます。

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